2008年8月1日金曜日

青空文庫を検索しよう【たしなめる】

 青空文庫とは、日本語の作品で著作権フリーになったものを集めたサイトです。これを用例データベースとして使い、ボキャビルをしてみましょう。

【今回の強化表現:たしなめる】

 「軽く叱る、いましめる」「苦しめる、悩ます」という意味です。では用例を見てみましょう。

すると先生は「誰にすゝめられても悪い事をすればいけません。他人のせいにして自分のいけない事を言ひ訳しやうとするのは、大変卑怯な事です」と更にたしなめられた。
(小学生のとき与へられた教訓 岡本かの子)

父も持ち前の商才にたけてはいたが、田舎育ちのために、性格に反して大事をとり、手堅い商法からハミだす勇気を失っていた。息子の大胆な商法が、父の持ち前の目をひらいた。父はにわかに覇気マンマンの豪商気風になり変った。今度はそれをたしなめるのが息子であった。
(明治開化 安吾捕物 その十七 狼大明神 坂口安吾)

幕が開いてゐるうちは静かでも、幕が下りた瞬間、破れるやうな拍手に交つて、見物席の隅々に起るあの「うれしキツス」の音を聞いたものは、日本のお役人さんならいざ知らず、やがて幕間の、のびやかな、くつろいだ、どうかすると、ちつとたしなめてやりたいほどの「たんのう気分」を、さうむきになつて憤慨はしないでせう。
(幕間 岸田國士)

「木山さん、この頃、どうかなすってますわね。ひどく怒りっぽいし、先程は、あんな失礼なことを言ったりして……。わたくし、ちょっとたしなめてやりましたわ。いい気味だった。」
(怒りの虫 豊島与志雄)

あれは学者と言って、死んだ天才にめいわくな註釈をつけ、生れる天才をたしなめながらめしを食っているおかしな奴だが、おれはあれを見るたびに、なんとも知れず眠たくなるのだ。
(猿ヶ島 太宰治)

チェホフは、クニッペルのいい素質と、同時に身に付けている所謂女優らしさをはっきり見ていて、大向うの喝采や、新聞の批評や、花たばの数などに敏感なのをはっきりたしなめて、いつも彼女が自分を掴んでいるように、自分の演技を持つようにと励ましているのを読んだことがあります。
(獄中への手紙 一九四三年(昭和十八年) 宮本百合子)

わたくしと幾つも違はない亭主持ちの女でさへ、やれ、誰それが変な眼附をしたとか、やれ、どのお客様が、背中へ手をおまはしになつたとか、そんな噂話を得意になつてしてゐるのを聞きますと、それは、こつちに隙があるからだと窘(たしな)めてやりたいほどですのに、
(顔 岸田國士)

「圭一郎もそないな罰當りを言や今に掘立小屋に住ふやうにならうぞ」と父は殆ど泣いて彼の不心得を諫(いさ)め窘(たしな)めた。
(崖の下 嘉村礒多)

ただKは私を窘(たしな)めるには余りに正直でした。余りに単純でした。余りに人格が善良だったのです。目のくらんだ私は、そこに敬意を払う事を忘れて、かえってそこに付け込んだのです。そこを利用して彼を打ち倒そうとしたのです。
(こころ 夏目漱石)


 漢字では「窘める」と書きますが、用例を見ていると、この字で「いじめる」と読ませるものもいくつかありました。