2008年11月7日金曜日

 青空文庫とは、日本語の作品で著作権フリーになったものを集めたサイトです。これを用例データベースとして使い、ボキャビルをしてみましょう。

【今回の強化表現:かたくな】

 「すなおでなく、ねじけているさま」「融通がきかず、片意地なさま」「ぎこちなく見苦しいさま」を表す言葉です。では用例を見てみましょう。

だが、それから六年後の今、この柔(やわら)かい景色(けしき)や水音を聞いても、彼(かれ)はかえって彼の頑(かたくな)になったこころを一層枯燥(こそう)させる反対の働きを受けるようになった。
(金魚撩乱 岡本かの子)

斑(まだ)ら生(ば)えのしたかたくなな雑草の見える場所を除いては、紫色に黒ずんで一面に地膚をさらけていた。
(親子 有島武郎)

取り乱さぬその冷静さがかえって普通(ふつう)でなく、度の過ぎた潔癖症(けっぺきしょう)の果てが狂気に通ずるように、頑(かたくな)なその一途さはふと常規を外れていたかも知れない。
(競馬 織田作之助)

彼人々は余が倶に麥酒の杯をも擧げず、球突きの棒(キユウ)をも取らぬを、かたくななる心と慾を制する力とに歸して、且は嘲り且は嫉みたりけん。
(舞姫 森鴎外)

彼のオモチャは特定人のオモチャ、彼一人のオモチャ、かたくなゝ細工物の性質を帯び、芸術本来の全人間的な生命がだん/\弱く薄くなりつゝあつた。
(オモチャ箱 坂口安吾)

「先生ももう来ていらっしゃるんだよ、さあさあ、早くお起きなさい」伯母は感情を隠すように、妙にかたくなな顔をしていた。
(子供の病気 ――一游亭に―― 芥川龍之介)

彼は身に降りかかるものに対して身構えるように、じっと頑(かたくな)な気持で畳の上に蹲っていた。
(冬日記 原民喜)

なぜ世の人はかくまでにかたくなにて怨みを結びまた争うのでしょう。
(青春の息の痕 倉田百三)

そして同時に私は彼等の偏狹な頑固(かたくな)な生活が、基督の教への中に味はれるやうな温かな親しみのある廣い人間的な味を失つてゐることを寂しく思はないではゐられない。
(修道院の秋 南部修太郎)


 漢字では「頑」と書きます。「頑として応じない」などというときは音読みの「がん」ですが、意味としてはほぼ同じですね。