2008年12月5日金曜日

青空文庫を検索しよう【つぶら】

 青空文庫とは、日本語の作品で著作権フリーになったものを集めたサイトです。これを用例データベースとして使い、ボキャビルをしてみましょう。

【今回の強化表現:つぶら】

 「丸くかわいらしいさま」を表す言葉です。では用例を見てみましょう。

つぶらな瞳(ひとみ)、弾力のあるふっくらとした頬(ほほ)、顔もからだも、ほどよく締っていて、弾(はず)みだしそうです。
(一週一夜物語 小栗虫太郎)

私はとうとう黙ってしまった。そして、私もとうとう笑ってしまった。「あはははーっ」と、多くのつぶらな眼も笑ってしまった。
(実践について ――馬になった話―― 中井正一)

僕は明けがたの夢の中に島木さんの葬式に参列し、大勢の人人と歌を作ったりした。「まなこつぶらに腰太き柿の村びと今はあらずも」――これだけは夢の覚めた後もはっきりと記憶に残っていた。
(島木赤彦氏 芥川龍之介)

二つの眼は黒い南京玉(なんきんだま)のやうに小さくつぶらに輝いて、脅(おび)えてゐるのかと見ると嬉(うれ)しさうにも見える。
(蝙蝠 岡本かの子)

阿耶は楚々(そそ)たる美しい娘であつた。淡青色のガラス服を透して見えるその胸には、みづみづしいつぶらな乳頭がぴんと張つてゐた。
(わが心の女 神西清)

鍵の握り輪の中の女は、ウェーブをしたような髪を結っていた。すんなりと伸びた鼻すじ。小さい眉、ことにつぶらな下唇、そして形のいい可愛い頤……
(鍵から抜け出した女 海野十三)

小鳥の眼のやうな、つぶらな赤い実が揺れ、厚ぼつたい葉が揺れ、茎が揺れ、そしてまた私の心が微かに揺れてゐる……
(まんりやう 薄田泣菫)


 漢字では「円ら」と書き、語源は丸くて小さいものを表す「粒」と同じだそうです。「つぶらな瞳」とつい決まり文句のように使ってしまいますが、眼や瞳以外にも使えるんですね。