2009年9月4日金曜日

青空文庫を検索しよう【つましい】

 青空文庫とは、日本語の作品で著作権フリーになったものを集めたサイトです。これを用例データベースとして使い、ボキャビルをしてみましょう。

【今回の強化表現:つましい】

 「倹約している、暮らしぶりが地味で質素である」という意味です。では用例を見てみましょう。

今度の下宿は、小官吏の後家さんでもあらうと思はれる四十五六の上(かみ)さんが、ゐなか者の女中相手につましくやつてゐるのであつた。
(哀しき父 葛西善藏)

父が外遊中、家計はひどくつましくて、私たちのおやつは、池の端の何とかいう店の軽焼や、小さい円形ビスケット二十個。或はおにぎりで、上野の動物園にゆくとき、いつもその前のおひるはお握りだった。
(田端の汽車そのほか 宮本百合子)

秋作氏は、長六閣下の一家が、つましく暮らしていることをうすうす知っているので、ホテルのロビイでキャラコさんを見かけた時は、たぶん人ちがいなのだと思った。
(キャラコさん 社交室 久生十蘭)

他處の人は祖母さんを吝だと言ふけれど、己れの爲に儉約(つましく)して呉れるのだから氣の毒でならない、
(たけくらべ 樋口一葉)

道中にも片足満足な草鞋(わらじ)は捨(すて)ぬくらい倹約(つましく)して居るに、絹絞(きぬしぼり)の半掛(はんがけ)一(ひ)トつたりとも空(あだ)に恵む事難し、
(風流仏 幸田露伴)

継母は継母で一家の経済を極端につましくした。
(夢は呼び交す――黙子覚書―― 蒲原有明)

同じような日々を送り、同じように年老いてゆき、同じ程度の苦や楽を嘗め、同じくらいの小金でも残して、同じように死んでゆくことだろう。そして今現に、朝や晩、私の方で茶の間に集って、つましい食事をしている時分には、隣家でも恐らくそうしてることだろう。
(白日夢 豊島与志雄)

いろけ盛りの若い女だったら、こんなつましいまねはしねえもんだよ。お年寄りだからこそ、捨てるももったいないと、丹念にしわをのばして、巻き紙に使ったんだ。
(右門捕物帖 因縁の女夫雛 佐々木味津三)

うちの経済のことなんかでも、私に全部打ち明けて、こんな状態だから、おまえもと言って下さったなら、私は決して、靴なんかねだりはしません。しっかりした、つましいつましい娘になります。
(女生徒 太宰治)

 漢字では「倹しい」「約しい」と書きます。似た言葉に「つつましい」がありますが、意味が少し異なります。以前にこちらで取りあげましたので、比べてみてくださいね。