2009年10月16日金曜日

青空文庫を検索しよう【廉(かど)】

 青空文庫とは、日本語の作品で著作権フリーになったものを集めたサイトです。これを用例データベースとして使い、ボキャビルをしてみましょう。

【今回の強化表現:廉(かど)】

 「理由として取りあげる事柄」「数えたてるべき箇条」という意味です。では用例を見てみましょう。

「早乙女の御前とは知らず、お庭先をお騒がせ仕って恐れ入ってござります。なれ共、それなる下郎はちと不審の廉(かど)あって召捕らねばならぬ者、役儀に免じてお下げ渡し願われますれば仕合せにござります」
(旗本退屈男 第二話 続旗本退屈男 佐々木味津三)

彼にとっては、三上が一秒間でも彼を侮辱したことは、三上の生涯を通じて所罰さるべきであり、そのそばに黙って櫓(ろ)を押していた小倉も、その侮辱を聞いたという廉(かど)によって、同罪であるべきであった。
(海に生くる人々 葉山嘉樹)

鳶「でね、何(なん)にもいわず、少し兄の方に用事が出来ましたからお暇(いとま)を願います、長々御厄介(ごやっけえ)になりました、と斯(こ)ういって廉(かど)をいわずにお暇(ひま)を取っちまう方が好(い)い、いろ/\くど/\しく詫(わび)なんぞを仕ちゃア可(い)けねえよ」
(闇夜の梅 三遊亭圓朝 鈴木行三校訂編纂)

その頃は申告の為方(しかた)なんぞは極(き)まっていなかったが、廉(かど)あって上官に謁(えっ)する時というので、着任の挨拶は正装ですることになっていた。
(鶏 森鴎外)

真面目に魔法を取扱って見たらば如何(いかが)であろう。それは人類学で取扱うべき箇条が多かろう。また宗教の一部分として取扱うべき廉(かど)も多いであろう。
(魔法修行者 幸田露伴)

証人として第一に呼び出されたのが余の叔父だ、叔父は堀の底を探っては何うだと言い出した発頭人である為、何故に堀の底へ目を附けたかとの廉(かど)を問われるのだ、
(幽霊塔 黒岩涙香)

後日支倉断罪に当って証拠に不十分の廉(かど)を生じたとしたら、正に此喜悦の余りの不用意と見るべきで、そこに人間としての彼を見る事が出来るではないか。
(支倉事件 甲賀三郎)

「いや、そればかりではござりませぬ。玉藻という女性(にょしょう)に就いては落意しがたき廉々(かどかど)があるとか申されまして……」と、師道もすこしあいまいに答えた。
(玉藻の前 岡本綺堂)


 「廉」は「角」と同語源だそうです。「ことが荒だつ」という意味の「かどがたつ」は今では「角が立つ」と書きますが、「廉が立つ」とされている用例も多く見つかりました。また「廉」という漢字は「れん」とも読み、「いさぎよい、安い」という意味があります。