2010年3月5日金曜日

青空文庫を検索しよう【ごっそり】

 青空文庫とは、日本語の作品で著作権フリーになったものを集めたサイトです。これを用例データベースとして使い、ボキャビルをしてみましょう。

【今回の強化表現:ごっそり】

 「余すところなく全部、根こそぎ」「数量の多いさま」という意味です。では用例を見てみましょう。

彼らの本能的な嗅覚(きゅうかく)は、常に好餌(こうじ)のある場所を嗅(か)ぎ当てる。好餌を発見すると、得たりとばかりごっそり移動し、食欲を満足させる。
(鰻の話 北大路魯山人)

「海蔵(かいぞう)さ、どうしたじゃ。一銭(せん)もつかわんで、ごっそりためておいて、大(おお)きな倉(くら)でもたてるつもりかや。」
(牛をつないだ椿の木 新美南吉)

はき出したあとで口をあけて空気をすいこむと、これはまた、なんという爽快(そうかい)なことだろう! 久助君の小さな口の中に、すずしい秋の朝が、ごっそりひとつはいりこんだみたいだ。
(嘘 新美南吉)

それからもう一つ、あの人形には電波を受けて、靴の下に仕掛けてある浚渫機(しゅんせつき)みたいな、何でもごっそりさらい込む装置――あの装置を動かせるようになっているんだと思う。
(鞄らしくない鞄 海野十三)

いろいろ大変面白く、歴史の現実の豊富を、ごっそりとすくい上げて見られるうれしさを感じます。
(獄中への手紙 一九四〇年(昭和十五年) 宮本百合子)

一軒は、夜盗がはいって、奥さんの衣類をごっそり持ってゆかれました。一軒は、娘さんが虚弱で、学校も休みがちでした。
(霊感 豊島与志雄)

「和泉屋は、そのなかのほんの一つでございます。ほかにも地所家作をはじめ、いろいろございますですよ。それはそれは、大変な財産でございます。そこで何にも知らずにいて、これだけのものをごっそり手に入れる娘さんは、いくらもともと母から譲られた自分のものとはいえ、たしかに日本一の果報者に相違ねえと、あっしは申すので」
(巷説享保図絵 林不忘)


 似たような表現に「ごそっと」というのがありますね。ただ、「ごそっと」は取ったり抜けたり持ち去ったりといった「出ていく」場合に用いるのに対し、「ごっそり」はそれに加えて、現れたり貯めこんだり儲けたりといった「入ってくる」場合にも用いられるようです。